【視察報告】市民に開かれた議会を目指して ~愛媛県松山市・広島県福山市の先進事例に学ぶ~

皆様、こんにちは。藤木真由美です。
先日、高知市議会の広報広聴委員会の委員として、愛媛県松山市と広島県福山市を視察訪問いたしました。

高知市議会では、市議会議員選挙の低投票率などの課題を踏まえ、従来の広報委員会に市民の皆様の声を聴く「広聴」機能を加え、2年前に広報広聴委員会が発足しました。より幅広い市民の皆様との連携を重視し、議会活動を身近に感じていただくための取り組みを進めています。今回の視察は、その一環として、先進的な取り組みをされている両市の事例を学ぶ貴重な機会となりました。

松山市:議会報告会のオンライン配信と次世代育成の取り組み

まず訪れた松山市議会では、2015年に議会基本条例を制定し、翌2016年から「議会報告会」を継続的に開催されています。特筆すべきは、その様子がYouTubeでライブ配信及びアーカイブ配信もされており、市民が時間や場所を選ばずに議会活動に触れる機会を積極的に提供している点です。

また、未来を担う子どもたちへのアプローチとして、小学生を対象とした「夏休み親子市議会体験ツアー」を開催し、模擬市議会や投票体験などを実施しているとのこと。高知市でも、市立中学校・商業高校の生徒による「志議会」を夏に開催していますが、より早い段階である小学生から議会を体験する機会を設けることは、主権者教育の観点からも大変素晴らしいと感じ、今後の参考にしたいと思いました。

福山市:全議員参加による「双方向の議会」の実現

次に訪問した福山市議会では、全議員が参加し、市内各地域で議会報告会を開催されていました。各会場では、所属会派を超えた班を編成し、地域住民の方々へ議会活動を報告するとともに、参加者から直接ご意見を伺う時間を設けているとのことです。

議員自らが説明責任を果たし、市民と真摯に対話するこのスタイルは「双方向の議会」として市民からも高く評価されており、回を重ねるごとに参加者の声が議会活動に具体的に反映された実例もご紹介いただきました。このような市民参加型の議会運営は、まさに私たちが目指すべき姿の一つであると強く感じました。

高知市議会への示唆:市民との距離を縮めるために

「議会の見える化」や「市民参加の推進」がますます求められる現代において、今回の視察で得た松山市・福山市の先進的な取り組みは、高知市議会が市民の皆様との距離を縮め、より開かれた信頼される議会となるための貴重なヒントに満ちていました。これらの事例を参考にしながら、高知市ならではの方法で、市民と議会がより近い存在となれるよう、具体的な方策を検討してまいりたいと決意を新たにしました。

心に刻まれた福山のバラ ~復興と希望のシンボル~

視察の合間に触れた福山市の姿も、大変印象的でした。「100万本のバラのまち」として知られる福山市は、駅前から住宅街に至るまで、文字通り街の至る所に色とりどりのバラが咲き誇り、市民の皆様が丹精込めて育てている温かさが伝わってきました。

この美しいバラの風景には、戦後の復興の歴史が深く刻まれているそうです。1945年8月8日の空襲で市街地の約8割が焼失し、多くの尊い命が奪われた悲劇からの復興の願いを込め、「荒廃した街に潤いと安らぎを」と、市民と行政が協働し、南公園(現在のばら公園)に千本のバラを植えたのがその始まりとのこと。その精神は今も市民の皆様に脈々と受け継がれ、街全体を彩る希望の象徴となっていることに、深く感銘を受けました。

今回の視察で得た多くの学びと感動を胸に、今後の議会活動に一層邁進してまいります。

福山市「100万本のバラのまち」